2020年秋の近鉄全線制覇~2日目その5~
生駒駅に着きました
時刻は昼下がり、13:42です
ここでまずは生駒ケーブルを撮ります
近鉄の大元にあたる大阪電気軌道が奈良線を開業させた際、生駒トンネルの掘削にお金を費やしすぎたのと大阪奈良間の流動が今よりも格段に少なかったとあって乗客も少なく、日銭すら窮する状態になってしまいました
そこに救いの手を差し伸べた(頼み込んだ)のが、奈良線沿線に位置し、奈良線生駒駅の開業で飛躍的に参拝客が増加した宝山寺(生駒聖天)
宝山寺の賽銭を借りることによって、大阪電気軌道はなんとか難をしのぎ切ったといわれています
日本で初めてのケーブルカーとして開業(1918年)した生駒ケーブルは、危機に際して援助してくれた宝山寺へのいわば「お礼」ともいわれ、今日に至るまで参詣路線として機能するほか、沿線の住宅地化に伴って通勤通学路線としての顔も併せ持つ路線となりました
管理人はまず生駒駅南口から
鳥居前第3号踏切まで歩き、ケーブルカー同士のすれ違いを撮影
その後
鳥居前第3号踏切から再び坂道を宝山寺駅まで歩き、そこで山上線に乗車
……という計画を立てていました
ところが
鳥居前~宝山寺の段階ですでに200‰を優に凌ぐ急勾配を誇る生駒ケーブル
その脇を通っていく道が緩やかなんてことはあるはずもなく
生駒駅の南口から400mほど(杉江産婦人科第二駐車場前付近まで)頑張ったもののギブアップ
当然といえば当然の帰結であります
生駒駅(鳥居前駅)から重い荷物を背負って歩いていくにはあまりにもきつすぎました
というわけですぐ近くにある鳥居前第1踏切で妥協
鳥居前第3踏切改め鳥居前第1踏切で、鳥居前駅14:00発のケーブルカーと宝山寺駅14:00発(鳥居前駅14:05着)のケーブルカーを別個に撮ることにします
踏切から鳥居前駅を見ると、臨時に動く宝山寺2号線の車輌「すずらん」号が静かに休んでいます
管理人にとって実はこれが初めてのケーブルカー見物とあって興奮しています
「ケーブルカーの踏切」というのも当然初めてでありまして、「足もと注意」「うごくロープにちゅうい!」などという踏切の注意書きは一度見てみたかったものでしたし、「踏切では一体どうやってロープ処理してるんだろう」という興味もありました
ロープと車輪の関係やこの油のこびりつき具合、ポイント付近での線路構造、あるいはロープ処理など、いずれも写真で見てはいましたが、実際に自分の目で見て初めて「ああなるほど」と得心できる部分もあります
事前に得た知識を実際に見て確かめる
百聞は一見に如かずです
さて、そうこうしているうちに鳥居前駅14:00発の列車がやってきました
犬の形をした「ブル」号です
親や友人に見せたらとても可愛いと好評でした
「レジャーランドみたい」とは父の感想
奈良には修学旅行でしか行ったことのない父親ですが、偶然にして「ご名答」な感想です
ケーブルカーを乗り継いで行く生駒山上には遊園地がありますからね
それにしてももっとガーっと引っ張り上げるのかと思ったら案外ゆっくりした走りでした
実際これくらいしか離れていないのにもう踏切は開きましたし、鳥居前第3号踏切は列車が接近しているにも関わらずまだ遮断機が開いていて軽トラが通過しています
宝山寺駅から下山してきた「ミケ」号とすれ違い
軽トラが通過したところにある踏切で撮る予定だったのですが、実現していたら可愛いケーブルカーが並ぶ大変いい写真になったことでしょう
背中の荷物の重さと体力のなさが仇になりました
「ミケ」号
山下側は「ブル」号も「ミケ」号もLEDの電飾が施されているのですが、おわかりいただけるでしょうか
一応光っています
「ミケ」号が通過した後、ロープが動く様子を撮影してみました
ロープと車輪の擦れる「ガー」という音が案外大きいです
さて、山登りを断念した管理人は鳥居前駅に戻ります
先ほど鳥居前駅に到着した「ミケ」号が14:20に発車するので、それに乗って宝山寺駅へ向かいます
この生駒ケーブルも近鉄3日フリー券のフリーエリア範囲内なので追加料金なしに乗ることが出来ます
鳥居前駅にはこのような顔はめ板が
車輌の丸窓がそのまま顔はめの部分になっています
実にお誂え向きなデザインじゃあありませんか
自動改札機はなく、窓口(改札)で駅員さんにフリー券を見せて乗り込みます
雨も降っていて客も少ないので、一番前から二列目の席を確保できました
ちなみに一番前の座席は運転士さんとの距離を取る関係上締め切りとなっており、ロープが張られていました
というわけで実質一番前の席から227‰の急坂の威力に対面します
%に直せば22.7%、角度に直せばわずかに12.7度
管理人はいつも思うのですが、角度と勾配の数値が妙に頭の中でリンクしていません
12.7度なんて三角定規の一番の鋭角である30度を半分に割った傾きよりもなお緩やかですからね
しかし勾配としては227‰という急坂ですし、実際に目にすれば「目の前にそそり立つ」という表現がぴったりきます
いつまでも三角定規の大きさで世界を測っているからでしょうか
タンジェントにもっと慣れ親しんだらよいのでしょうか
測量でもやったら少しはリンクするようになるでしょうかね(笑)
そんな急な坂(のまだ緩やかな部分)を保線員と思しき人たちが下ってきました
14:15ころ係員さんらしき人が乗り込んできて
「ミケ」と書かれたカギを差し込み、何やら大きなハンドルをセットしました
てっきりマスコンだと早とちりしていたのですが、あとから調べるとこれはブレーキで、頂上(宝山寺駅)に着いたときや万が一障害物があった際に停車のため車輪を止めておくものなのだそう
さらに万万が一ケーブルが切れた場合でも非常ブレーキがあるんだそうです
いやはや考えられているんですねえ
……というかそもそも車輌を動かしているのは頂上のウインチなわけですから、論理的に考えればマスコンなんかじゃないですわな(笑)
14:20、「ミケ」号が発車
同時に
山上側の「ブル」号も発車します
自分の脚ではあんなにきつかった坂をものの5分で宝山寺駅まで走りました
ここで山上線に乗り換えます
今乗ってきた「宝山寺線」と今から乗る「山上線」を2つ併せて「生駒鋼索線(生駒ケーブル)」という1路線です
宝山寺駅で待っていたのは「スイート」号
ケーキのような車体デザインです
14:29発車のこの車輌で管理人は梅屋敷駅まで行き、数分後に降りてくる「ドレミ」号をも撮影しようという腹づもりです
それにしてもやけに暗いなあと思っていたら
宝山寺駅発車後すぐトンネルの中を走るんですね
トンネルを抜けると見えてきたのは生駒の市街です
そっちの梅屋敷駅じゃない梅屋敷駅には14:31着(画像はWikipediaから)
まさかまさか、私の他におばあちゃんが一人降りていきました
曇っていますが梅屋敷駅からの生駒市の街々です
写真真ん中あたりに緑地帯を真っ二つに割っている線が見えますが、緑地帯が生駒山地の東側にある切れ端のような山地(あれも生駒山地の一部)だとすれば、線はたぶん奈良県道702号線で、緑地帯の裏手には道の右側に帝塚山大学のキャンパス、左側に奈良西部病院とゴルフ練習場があるはずです
ちなみに写真の左側見切れるあたり(もしくはもっと左側)に近鉄奈良線のトンネル、さらに左側にけいはんな線のトンネルもあるはずです
なんて撮っていたら早々に来た梅屋敷駅14:34発の「ドレミ」号
ピアノと思しき鍵盤の上でリスがバイオリンを弾いています
因みにリスに挟まれて開かれた楽譜は一応4/4拍で成立している楽譜
今度弾いてみましょうか(笑)
4枚撮った生駒ケーブルの各車輌は、4枚ともページ掲載に採用
駅名読み方大全では初めてのスライドショーで4枚ともじっくりご覧いただきましょう
こちらからどうぞ
宝山寺駅で再び乗り換えて鳥居前駅には14:45着
行きと違って帰りはかなり混んでいました
さあ、生駒駅に戻って再び撮影をしましょう