北海道保存車輌制覇の旅~4日目その6~


殖民軌道の車輌を堪能した管理人は

釧路へ戻り、太平洋石炭販売輸送の石炭車を撮りに向かいます
この会社、現在に至るまで日本で石炭を採掘し続けている炭田から石炭を運ぶ、日本唯一となった石炭輸送専用鉄道として臨港線および城山線を運行していましたが、城山線が1985年に、生き残った臨港線も採炭量の減少からついに運炭の契約を打ち切られ、2019年に廃線となりました
ちなみに太平洋石炭販売輸送が鉄道を運行する前は釧路臨港鉄道という会社が運営しており(臨港線城山線)、その当時は旅客営業も行っていました
わずか2年前に廃止されたとあってまだ石炭車が留置されており、管理人はそれを撮影するという作戦です
ひたすらに国道44号線を走っていきましたが、それなりに起伏と曲線のある道で指定速度未満にスピードを落としたタンクローリーに頭を抑えられる不運もあって、撮影ポイント付近には17:40頃の到着です
撮影ポイントの向かいにある「ザ・ビッグ春採店」に車を停め、夕食を買うついでに急いで撮影を行いました

 

本当は

地図左下、「ひぶな坂」と書いてあるあたりから俯瞰して望遠で撮影することができたらしいのですが、管理人の持っているカメラが条件を満足できるだけの望遠性能を満たしているか甚だ疑問だったため、手っ取り早く近くで撮影できるザ・ビッグの真向かいを撮影地点に選んでいます
そもそも社章も撮らねばならず、それには車輌に近いに越したことはありませんので

 

てなわけで太平洋石炭販売輸送の社章
車輌記号「セ」表記の貨車を撮影するのはこれが初めて
何しろ日本では2020年をもって鉄道による石炭輸送が終了してしまったのですから、20世紀最末期に産まれた管理人は、お目にかかる機会すらなかったわけで

 

ずらりと繋がれた石炭車
こう見ると機関車が繋がれていないだけでまだ現役のようにも見えます
さあ、あまり時間も撮れないので次に行きましょう

 


釧路市街にある幸町公園に保存されているSLを撮影しに向かいます
当初管理人はこの公園の周辺が駐車禁止のため、市役所か合同庁舎の駐車場をちょっと拝借しようかなどとどうしようもないことを考えていました
ところが釧路市はそんな管理人の浅はかな考えを見抜いたか、釧路市街に18時過ぎに到着した頃にはどこもロープで施錠されていて入れず


駐車できるところをぐるぐる探した挙句に釧路駅の駐車場に停め、急ぎ公園に向かいます

 

釧路市幸町公園に保存されている、D58 106

 

側面から

 

斜め前から

 

説明板
これにて首尾よく撮影は完了です

 

さて、戻りながらふと頭の中に心配事がよぎりました
この後予定では鶴居村のふるさと情報館と、阿寒町炭鉱と鉄道館という2つの施設を巡って帯広天然温泉ふく井ホテルという宿に宿泊する手はずとなっていました
つまり

これから夜になるというのに、3時間以上の時間をかけて200kmに迫る道のりを走ろうなどという計画を立てていたのです
しかし1日目2日目と恐ろしい思いをしながら夜道を運転し、さらに3日目にはついに鹿にぶつかるという「前科」を持ってしまった今となっては、撮影をするよりもまず
「夜道を無事に走って帯広へたどり着くこと」
を最優先事項にせねば、今度はもっと大きな事故をおこしかねないのではないか……
鹿ならまだしも他人を巻き込む事故をおこしてホンマもんの前科者になるよりは、ここで潔く撮影を諦めた方がよほど安全です

 

また日も落ちた中での撮影は
幽霊列車の量産に繋がるので、できれば避けたいというのが本音

 


殖民軌道については個人的に非常に興味をそそられる分野でもあり、鶴居村にはその数少ない保存車輌の内の一つが展示されているということで撮影を諦めるのはまさしく断腸の思いではありますが、泣く泣く釧路→帯広直行を選択することと相成りました

 

改めてカーナビで釧路駅からホテルまでの道程を検索し、
「2時間半かあ」
と溜息をつきつつ、
「そういえばメーター半分になったし給油してから帯広行くかあ」
と思い、

釧路新道の起点近くにあるガソリンスタンドで給油してから高速道路に入ろうと考えました
ところが何とはなしにつけたラジオから流れてきた交通情報に、管理人は度肝を抜かれます
「……なお道東道は工事の為、この後午後8時より翌27日の午前6時まで、本別ICから池田IC及び本別JCTから足寄ICにおきまして、上下線とも夜間通行止めを実施いたします。迂回にご協力ください」

 

……

 

え?何に度肝を抜かれたんだって?

 

 

 

ここでもう一度詳しく行程を見てみましょう
貧乏性の管理人が道東道を使う区間は、勿論無料で通れる阿寒ICから本別ICまでの間
つまり

ここです

 

対して通行止めになると発表されたのは本別ICから池田IC及び本別JCTから足寄ICの2区間、すなわち

ここです

 

お察しのとおり、管理人の走行予定区間と通行止め区間は全くかぶっていません
しかしながらそこはテンパっている上に大馬鹿な管理人、
「あれ、これ高速使えなくならない……?早くいかなきゃやばいじゃん」
早とちり
これはまずい、閉鎖される前にとっとと帯広に向かうに限る、ああ鶴居になんか行かなくてよかった、英断英断……
見当違いに安堵しながら、急ぎ帯広へと舵を取ります

 

この交通情報が流れたのが給油所へまさに入らんとする18時半少し前
ウインカーを出して側道へ入ったものの、すぐに切り返して再び国道へ舞い戻り、

東進します
ここで既に「夜道の運転」「高速道路での運転」が不安材料となっていた管理人に「ガソリン残量」という新たな要素が加わってしまいましたが、ちょうどうまい具合に管理人の車の前にタンクローリーが走ってくれたこともあり、
「まあ帯広までなら(ガソリンが)持つろ」
前を走るのが大型車ならば法定速度で走りますから、後ろにしっかりついていけば道を外したり煽られに乗ったりして事故を起こす可能性が減りますし、何よりいい風よけになってくれるために若干燃料を節約できます
……とまあ最初のうちはかなり楽観視していたのですが、阿寒ICから乗ってすぐ、管理人は重大なことに気がつきます

 




(上から阿寒IC入ってすぐ、白糠IC付近、浦幌IC付近)
おわかりいただけますでしょうか
「道路灯がないんですけど???!!!」

 

高速道路なのに灯火が一切なく、頼れるのは先導するタンクローリーと自分の車の照らすヘッドライトの明かりだけ
おいおいおいおい、高速道路だぞ?!
高速道路なのに道路灯がないってそんなんありかよ?!
管理人の緊張は一気に最高潮まで高まり、ハンドルを握る腕がこわばります
手はベチャベチャになるほど汗をかき、目はおそらく血走り、脚はガクガク震えそうになるのを何とか気合で制し、暗闇の中を70km/hでタンクローリーに一生懸命追走していきます
夜道の高速走行に不慣れな管理人、文字通り「命懸け」です
おかしい、昨日煽られて快適に通った道の逆なのに、昼夜が違うだけでこんなに走りにくいものなのか……
身体全体がガチガチになった状態で走ること約1時間
最後の最後、本別ICで最大の難関が待っていました

 


ご覧のとおり、本別ICは、あろうことかIC付近にも関わらず、追い越し車線が整備されていない
そんな状態で路肩にはこの後20時からの閉鎖→工事に備えて様々な車輌が待機しています
その待機列が本線からの分岐の直前まで伸びていて、分岐が確認できない
なんなら上のストリートビューで示されている「200m 無料区間最終出口」の看板すら停車している車に遮られて見えなかったため、どの程度先で分岐するのかがわからない(無論カーナビはありましたけれども)

 


結局10km/hくらい速度を落とした上でこの点滅灯を視認し分岐に入りましたが、この時ばかりは後続車に申し訳なかったと思っております
だから「初心者ドライバーはうざい」と思われるわけですね、いや実に反省せねばなりません
……といって解決策はといえば「夜道にもっとなれる」くらいしか思い浮かばないですし、それよりもなによりも、卑しくも高速道路を名乗るのならばICの手前くらいは追い越し車線をつくれっていう話ですし、せめて道路灯ぐらいはつけろといいたいんですが……

 

心臓バクバクの状態で道東道から降り、後続車をやり過ごしながら池田・幕別の街中を抜け、帯広のガソリンスタンドでようやく給油を済ませた管理人
20時頃、ようよう無事にホテルに到着しました
「駅前唯一の源泉かけ流し・天然モール温泉」という宣伝文句のとおり、大変に気持ちのいい大浴場で汗を流し、4日目も終了したわけでございます

 

北海道めぐり4日目
走行距離……579.7km
通過市町村……(3日目終了地点北見市から)津別町・陸別町・足寄町・標茶町・別海町・根室市・浜中町・厚岸町・釧路町(2)・釧路市(2)・白糠町(2)・釧路市(旧音別町飛び地)(2)・浦幌町(2)・本別町(2)・池田町・幕別町・帯広市

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