2020年秋の近鉄全線制覇~3日目その8~


大阪難波駅に着きました
ここから管理人は17:20発のアーバンライナー117列車に乗って、近鉄名古屋駅まで約2時間半の旅を楽しみます

 

私もひのとり最前列からの前面展望はいつかぜひ体験してみたいのですが、ここはあえて近鉄名阪ノンストップ特急中興の祖であるアーバンライナーに乗ります
東海道新幹線・国鉄の大攻勢によって名阪ノンストップ特急・近鉄は一時瀕死の状態まで追い詰められるも、その後国鉄は運賃値上げ・ストライキと失策が続き、近鉄はそれに乗じるかたちで客を取り戻していきました
瀕死から一転、息を吹き返し逆に反撃を狙う状況下において、この車輌は近鉄が入念なマーケティング・リサーチのもとに開発した、いわば切り札
名阪連絡を担うのは我々である」という近鉄の矜持と、ビスタカーに代わるフラッグシップ車輌として放った輝きを、管理人は実際に乗ることで感じようとしました

 

……ずらずらと御大層なことを書いてますが、本当のところは私が席の予約をした段階でひのとりの最前列席は3席とも全て埋まっていたからです(笑)
アーバンライナーは近鉄名古屋方にデラックスカーを繋いでいるので、ちょうど空いていた最前列の1人席を事前にネットで予約しました

 

インターネットで早めに予約すると300円割り引かれるのはありがたい
実質220円の加算でデラックスシートに乗れるのはかなりの「アド」です(そういえばアドって最近聞きませんね)

 

大阪難波駅には17:00くらいに着いたので、ちょっと駅構内を物色
食べ物・お土産の店が山ほどあります
特急の車内で食べるものをどこかで調達したかった管理人は、
「大阪上本町駅は近鉄のターミナルだしなんかあるだろう
「大阪難波駅は近鉄と阪神の単なる接続駅だからあまり大した店はないだろう
と思い、実際に大阪上本町駅でマクドナルドをテイクアウトしたのですが、どっこい大阪難波もかなりの店がある
これならば何も焦ってマクドナルド駆け込まなくてもよかったわけで失敗しました(笑)

 

構内は一周しただけですぐに地下ホームへ
大阪難波駅は阪神と相互直通運転を行っているために両側からひっきりなしに列車が来ます
それでもこの駅に乗り入れる列車が近鉄奈良・難波線と阪神なんば線だけならまだいいのですが、問題は伊勢志摩・名古屋からはるばるやってくる列車もいるということ
これらは総じて大阪難波駅発着なので、直通する列車の合間を縫って折り返しさせないといけません
それでいて規模は2面3線と大変に小規模なのですから、とっとと乗降してもらってとっとと阪神・桜川駅側の引き上げ線に車輌を逃がさないとあっという間に詰まってしまいます
その引き上げ線も1本しかないので、本当に余裕がありません

 

ホームの鶴橋方にあるベンチで荷物整理をしていると、やってきたのは17:10発鳥羽駅行き伊勢志摩ライナー
あろうことか発車直前になって、とある客がちょうどホームと車輌の間にまたがって足をかけたので扉が閉められなくなりました
駅員が何度か
「発車します、列車から離れてください、扉閉められません」
とアナウンスするも件の客は足を車内からひっこめず、ついには駆け付けた駅員と揉め始めました
何が原因で揉めているのか私のいたところからはよく聞こえなかったのですが、断片的に聞こえてくる駅員のとりなしの声を聞くに、
客はこの列車に乗りたい
でもこの列車がどの停車駅に停まるのかもよくわかっていない
あまつさえ特急券も買っていない
車内での清算も拒否している
でも客はこの列車に乗りたい(以下無限ループ)
どうしようもありません
しまいには運転士さんも運転席から飛び出して仲裁に参戦
結局伊勢志摩ライナーは所定より3分遅れて出発していきました

 

さあその間にどんどん列車は詰まっています
影響で急行近鉄奈良駅行きも遅れ、各駅停車東花園駅行きも遅れて発車
当然私が乗る17:30発のアーバンライナーも入線が17:30になる混乱ぶりです
しかし不幸中の幸いか、近鉄奈良方面行きの列車が
「詰まって大阪難波駅手前で停車→信号が黄色&停車駅なのでゆっくりゆっくり入線」
というコンボを発動してくれたため……かどうかは定かじゃありませんが、
3番のりばを発着する電車が見通すことができた結果、阪神乗入対応の近鉄車についている蝶のようなマークと、阪神電気鉄道の社章を撮影することに成功

 

近鉄の社章が
西田原本駅で撮ったこれしか手に入らず、かといって「KINTETSU」の四角形ロゴもちょっと嫌だったので代替のマークを探していたのですが、もうこの「蝶マーク」でいいやと諦めました
阪神はちゃんと車体に刻印されているのに、私が探した範囲では駅や百貨店はほぼ全部「KIMTETSU」ロゴ、車輛に至ってはロゴすらなし
ちょっと失望しました

 

さて、近鉄難波駅を2分ほど遅れて発車したアーバンライナー117列車
発車30分前には私を含めて5人しか予約が入っていなかったのに、私が着席した直後にでかいスーツケースを持った出張帰りらしきサラリーマンが12Cに着席
あれ、私は隣どころか2人席にも人がいない状況でのびのびマックを食べるつもりだったのに……(笑)
さらにデラックスカーの中を行ったり来たりウロウロする乱入者まで現れます
てっきり運転席後ろでかぶりつくのかと思ったら大阪上本町駅で降りていきました
乱入者どころか特急券を買わない不届き者だったようです

 

大和八木駅では京都駅からの鳥羽駅行き京伊特急と接続し、客が若干乗車するもデラックスシートには大した人数は来ませんでした
しかしその少ない乗車人数の中でも目を引いたのが、小学生中学年くらいのちっこいの
席に荷物を置くことすらせず、発車するやいなや前面にかぶりつきにいきました
かなり長いこと楽しんでいたようですが、長谷寺駅あたりを過ぎると一気に周りの景色から人工物の明かりが消え真っ暗に
ここら辺で飽きたか、ちっこいのは席に戻っていきました
このような前面かぶりつきをする子供というのは、大抵席と展望スペースを何度も行ったり来たりするために疎ましい思いをする人もいるのでしょうが、このちっこいのはデッキと座席の間の自動ドアを偶発的に開け閉めしてしまうなんてことすらなく、非常におとなしく展望していました
近鉄四日市駅で降りていきましたが私の見る限り一人きりでしたから、もしかしたら大冒険の帰りだったのでしょうか
でもそんなに小さいのに7時8時まで一人きりで外で遊ばせておくのはどうなんかなあ……と余計な心配をしてしまいます(笑)

 

津駅・白子駅・近鉄四日市駅からは、名古屋方面へ帰る・あるいは新幹線で東京方面へ乗り継ぐと思しきサラリーマンも乗り込んできましたが総じて数は少なく、結局途中からの乗車を含めてもデラックスシートにいたのは合計20人にも満たない人数でした
本当に大丈夫か近鉄特急……

 

さあ、旅は最終盤
こだまとしては東京にたどり着く最終列車となる、こだま754号に乗りこんで、一路東京駅へ向かいます
このこだま754号は名古屋駅始発、しかも私は指定席を押さえているので、並んだり焦って座ったりしなくてもいいのが嬉しい
ホームベンチに座ってゆっくりとこだまの到着を待っていたのですが、面白かったのが指定席車輌しかこない乗車口なのに早々と列をつくり始める人たちがいたこと
どうせ指定席券買っているんだし、焦っても席は逃げたりしないんだし、デッキや社内の狭い通路で人が滞留するのは確実なんだから、そんなに急くことないのに……と思ってみていたら、臨時のぞみ250号と定期ののぞみ52号が僅か2分間隔で15・16番線から発車していったり、名古屋駅で退避するひかり664号が入線完了してから名古屋駅で先発するのぞみ452号の入線案内までわずかに30秒ほどだったりと、とてつもなく目まぐるしい
すぐ並ばないとすぐに到着してすぐに発車する列車に乗れないということなんでしょうか
でも名古屋駅では1~2分くらい停まるわけですから、やっぱりそんなにせかせかしなくてもいいじゃないかと思ってしまうのです
その点、私の隣のベンチ椅子でのぞみが到着するまで電子書籍マンガを読み、到着してから身支度を始め、待機列の人間があらかたデッキから車内へ消えたころを見計らって悠々と乗り込んでいったおっちゃんには、「わかってるなあ」と感心してしまいました

 

こだま754号は名古屋駅からほぼ満席
その上若い人が非常に多いです
「東京着こだまでは最終」
「こだまなのでちょっと安い
(通常期指定席でのぞみは11,300円だがひかり・こだまなら11,090円)
「その上『ぷらっとこだま』対象列車なので8,500円で乗れる」
という理由が考えられますが、しかし如何に「GoTo Travel」などで人々の行き来も若干復活していた時期とはいえ、5、6人のグループ旅行をしている人たちがいたのを、いろんな意味でなかなか「勇気ある行動」と思わずにはいられないのは、私がこんな無茶な旅をしているがゆえに一人寂しく行動せざるを得ないところからくる「妬み」でしょうか(笑)

 

各駅に停まってその都度後続に抜かれ、東京駅に着いたのは23時半過ぎ
3日間に及んだ「近鉄乗り回しの旅」は、これにて幕を下ろすわけでございます