2020年秋の近鉄全線制覇~3日目その4~


JRの御所駅を9:54に発車した新型の電車に乗って、10分強で吉野口駅に到着
ショートカット成功です
これが近鉄ルートだと近鉄御所駅9:54発尺土駅10:03着→乗り換えて尺土駅10:22発吉野口駅10:45着ですから4倍以上時間がかかるわけです
ここで撮るのは
①吉野線特急さくらライナー
②おなじく吉野線特急青の交響曲
の2枚

 

吉野口駅についた管理人の目の前に
切り立った崖がそびえたちます
どうやら採石場のようです

 

吉野口駅では近鉄とJRの共同改札となっているのですが、ホーム上や地下連絡通路にはこんな機器が

 

説明書きがありました
ここまでICカードを使ってJR線で来た客は、ここで降りるにしろ近鉄線に乗り換えるにしろこれにタッチしなければならないのですが、問題はこの「JR⇔近鉄乗換え」というのが「JR近鉄間で連続してICカードを使う」状況を想定しているのか、それとも「どっちかは切符でどっちかはICカードを使う」という状況をも想定しているのかはちょっとわからない
管理人はまさに「JR線はICカードを使って乗車し、近鉄線は切符の3日フリー券を使って乗車する」わけですから、これは重要な問題です
仕方がないので改札口で駅員に聞きますと、どうも「IC⇔切符」のパターンは上の説明書きでいうところの「JRご利用のお客様【降車】」が適用されるらしく、「黄色ののりかえ改札機にタッチして改札口の改札機にタッチしろ」とのこと
てなわけでもう一度地下連絡通路にある例の機器のところまで行ってPASMOをタッチし、引っ返して自動改札機のICカード読み取り部分にタッチします
しかしながら駅舎の外には特に用もないので、管理人は改札を通過せずに再びホームへ引っ返します
もし他に乗客がいたら変な目で見られたことでしょう(実際先ほど聞いたはずの駅員も怪訝な顔してましたし)
やっていることが不正乗車に間違われるような行動です(笑)

 

その改札の脇にはこんな表示が
たしかに金峯山寺に行くにはここからでは遠すぎます
この吉野口駅があるのは御所市
吉野の山のある吉野町とは隣り合ってすらいません(間に大淀町が挟まる)
この地に先に線路を敷いたのは、和歌山線をつくった南和鉄道(1896年)
当初は「葛」という駅名でしたが、1903年「吉野口」に名を改めました(その辺の歴史はこちらから)
吉野は雪・桜の名所として古代から知られる超有名観光スポットですから、南和鉄道としては集客のために何としても「吉野」の駅名が欲しかったんでしょう、きっと

 

なお近鉄吉野線の前身となる吉野軽便鉄道が、ここから吉野駅まで線路を敷いたのは1912年のことですが、この吉野駅は現在の六田駅
現在の吉野駅まで線路が伸びるのは、社名が吉野鉄道に変わり吉野口~橿原神宮前が開業したよりも後の、1928年のことになります
この橿原神宮前駅も現在の橿原神宮前駅ではないのですが、これは説明し始めると大変にややこしいのでこちらの動画をご覧ください

なお同じ動画は吉野鉄道線大阪電気軌道(大軌)吉野線、それに大軌橿原線のページにも掲載されていますので、そちらも併せてどうぞ

 

 

そんな吉野口駅の駅前にはこんなものが

 

古代人と言えば管理人はむかーしむかし、新潟県は長岡にある新潟県立歴史博物館での体験プログラムで、ドングリを食したことがあります
いわゆる「縄文クッキー」を実際に食べてみるというプログラムで、すりつぶして粉にしたドングリの実をミンチ肉と一緒に混ぜて焼いたり、小麦と一緒に練ってクッキーにしたりという感じだったのですが、アク抜きしてもまだ苦み・えぐみの方が勝り、子供の舌にはちょっと厳しい味だったことを記憶しています
完全な余談ながら、この新潟県立歴史博物館は新潟の縄文時代の文化を知ることが出来る博物館で、特に新潟に特有といっても過言ではない火焔土器に関する展示が充実しています
博物館近くには馬高・三十稲場遺跡というこれまた縄文時代の遺跡があり、ここの出土品は馬高縄文館という博物館に展示されています(火焔土器ももちろんあります)
長岡市街からはちょっと外れたところにありアクセスに車必須なのが難(でも関越自動車道長岡ICから5分で行けますよ!長岡駅からバスも走ってますよ!!)ですが、博物館近くには国営越後丘陵公園も雪国植物園もあって春には新潟県の花であるチューリップが本当に見事に咲き誇りますんで、春の花見シーズンでも夏の長岡花火の時期でもいいですからぜひ来てください!

 

閑話休題

 

越後丘陵公園にまつわる思い出もいろいろありますが、そろそろ管理人は古代人に思いをはせるより
さくらライナーに先行する列車で感触を確かめることの方が重要です
吉野口駅10:18発の急行吉野駅行き

 

もうちょっと寄りたいなあと思ったので
信号機の下に見えるフェンスのところが、構内踏切の跡なのか線路と同じ高さになっていて、しかも障害物もあまりなかったので、そこから望遠を伸ばして撮影することに
その信号機の背面版(って言うんですか、後ろの黒い板)ですが、スパッと切れています
車輌とのクリアランスを保つためなんでしょうが、脇にこれだけスペースがあるのになぜ車輌と干渉しそうなギリギリのところに信号機を設置しているのかは謎です
2つの信号機を横に並べないで上下にする、あるいはもっと高い位置にすれば解決するはずですが……
ともあれ管理人はフェンス側に荷物を置き、やってくるさくらライナーをいまや遅しと待ち構えます

 

やってきました、吉野口駅10:30発の吉野駅行きさくらライナー
後ろの山もほんのり色づき、桜色をまとう列車といい感じに(自画自賛)

 

さくらライナーが上下ですれ違う10時半の吉野口駅
車体下部の薄桃色はグラデーションのように徐々に白くなっていくのですね、とってもいいです

 

それにしても大阪阿部野橋駅行きの方のさくらライナー、吉野口駅発車時に乗車人数を数えてみたのですが
4 人
た  っ  た  4  人
感染症加えてオフシーズン、観光から入るにもかなり早い時間であるという諸々の理由があるとはいえ、4輌編成に4人はちょっとどころでなくまずいんじゃないでしょうか

 

便所で用を足して戻ってくると
いままで全く動きのなかったJR線ホームに列車がやってきました
吉野口駅10:46発の奈良駅行きです

 

近鉄線には既に10:41に急行大阪阿部野橋駅行きが来ています(10:46発)

 

さらに
10:48発の和歌山駅行きも到着

 

そして
同じく10:48発の急行吉野駅行きが到着
なんと4線が同時に埋まりました
……だからといって人が乗り降りしたかというとまた別問題なんですが……………………

 

これらを見送るとやってくるのが青の交響曲
メタリックなネイビーブルーに金帯の列車ということもあって車体への映り込みが心配となり、いつもとは逆に
晴れたらどうしよう
と心配をする始末(笑)

 

吉野口駅11:00発の吉野駅行き青の交響曲
到着直前雲が日差しを遮ってくれたおかげで、側面はちょっと微妙ですが正面は特徴的な色をよくとらえることができたんじゃないでしょうか(と、自画自賛)
陽が出ていたらきっと黒く見えてしまうでしょうから、それだけは避けたかった
日頃の行いがいいおかげでしょう(絶対違う)

 

それにしたって面白い特急です
通勤で使われていた車輌を〆て2億円でちょちょいと改造しただけで(「しただけで」って言い方は近鉄に失礼ですが)世間の耳目を集めるような列車、しかも普段使いの特急になってしまうんですから

 

同じく吉野口駅11:00発の大阪阿部野橋駅行き特急を待って発車です
狭軌線の汎用特急車輌ですがこれも愛称はAceらしいです
近鉄は本当にややこしい

 

後追いはブレていますが、それよりも管理人が気になるのが「吉野方面」の看板

 

これはさきほど便所に行ったときに撮った写真です
同じ1番のりばの「吉野方面」でも、フツーの「吉」といわゆる「土よしの吉」が混在しています

 

 

こういうのって駅名を調べる上でほんっっっっっっっっっっっっっっっっっっとうに作業を面倒くさくさせる要因になるのです
例えば留萌本線の留萌駅
1947年に留萠町が市になった際に表記を留萌市にした(るもいの「もい」を俗字から正字に変更)のですが、駅名が「留萠」から「留萌」になったのはずっと後の1997年
でも普段「留萌」と読み書き記録するのに「萠」と「萌」の違いを意識して書く人なんて普通いません(特に新字体が用いられ始めた1949年以降)から、1997年以前の資料でも「留萌」と記してあるものに出会うことがあります

 

宝塚に至ってはもっと大変です
国や兵庫県は新字体の「宝塚」なのに市は旧字体の「宝塚」表記を押し通しつつHPでは新字体の「宝塚」表記、JRは新字体の「宝塚」表記だが正式には旧字体の「宝塚」、阪急は駅舎には旧字体の「塚」を掲げつつも駅名標は最近新字体の「塚」に統一されたらしく、列車の行先表示はLED表示で新字体の「塚」だが古い車輌には旧字体「塚」タイプの幕と新字体「塚」タイプの幕が混在……
ごちゃごちゃ

 

管理人は駅名読み方大全におけるひとつの基準として
「原則駅名は正式名称で表記
(Osaka Metro各線の「なんば駅」や「なかもず駅」が駅名読み方大全で漢字表記なのはそのため)
「漢字は原則新字体で統一
(東急の「渋谷駅」は昔は確実に「澁」を使っていましたが、ずっと「渋」で押し通しているのはそのため)
「ただし1949年以降も旧字体を使っている場合はそれに準拠」
(上に挙げた「留萠駅」「宝塚駅」などはその一例)
というラインをつくっていますが、ところどころ怪しい部分があることは自覚しています
これは今後の課題ですね
ドングリクッキーの話しよりこういう話しを書かないといけません(笑)

 

さて、吉野口駅での撮影を終えた管理人は、11:14発の急行大阪阿部野橋駅行きに乗車
向かうは古市駅です